早春賦

(歌詞)
春は名のみの 風の寒さや
谷の鶯 歌は思えど
時にあらずと 声も立てず
時にあらずと 声も立てず

氷解け去り 葦は角ぐむ
さては時ぞと 思うあやにく
今日も昨日も 雪の空
今日も昨日も 雪の空

春と聞かねば 知らでありしを
聞けば急かるる 胸の思いを
いかにせよとの この頃か
いかにせよとの この頃か

この曲は、長野県大町市、安曇野あたりの早春の情景をうたった歌とされ、長野県立大町中学校(長野県大町高等学校の前身)の校歌を作りに来た吉丸一昌が、大町、安曇野の寒さ、そして春の暖かさを歌った歌詞でもある。

100年以上も前の曲であるが、冬から春に向かう季節の頃を、心情を込めて歌っている。2月の頃は九州でも、三寒四温という季節の変化を経験しながら、春に向かっていく。

最近、事務の女の子に「三寒四温」って知ってる?と、聞いてみたら、「知らない」と言う。インドア派のゲームを中心に育った世代には、季節の変化を読み解く感性が備わっていないのだろうか?

熊本の益城の秋津辺りから市内に続く平野には、田んぼがあり小川が流れて、昔から自然が残っているところだった。横井小楠が住んだ「四時軒」に行くと、田園風景が一望でき、明治維新に一役を買った小楠先生の面影をしのべた。

この「四時軒」に、坂本龍馬、西郷隆盛らが来ている。多分、坂本龍馬は、小楠先生から、「富国論」など、政治があるべき姿について、耳をそば立てたのだろう。しかし、熊本においては、横井小楠は、それほど評価されていないような気がする。

その「四時軒」も、昨年の4月に起きた熊本震災の時に、全壊している・・・

人々の記憶の中から、「四時軒」がなくなっていく前に、ここに記す・・・

2017年2月13日