最近、MLM(マルチレベルマーケティング)について聞くことが多い。そして、事業でそれなりの成功を収めている経営者に対しては、「MLMなどやめなさい」と言われる。
私も御多分に漏れず、「MLMなどやめなさい」と言われる側のひとりである。
ではなぜ、人はそのように言うのであろうか?
MLMについては、アメリカでは、立派な商取引きとして成り立っているが、日本においてはそうではない。
かつて、熊本で「天下一家の会」というものがあった。無限連鎖の始まりである。社会問題をもたらしたそのシステムは、不幸を招くもので、アリ地獄に陥るようなものだ・・・と言われた。
それで、国のほうも、そうした無限連鎖については違法であるとして、有限連鎖にするように法律を整えた。だから、今、システム上無限連鎖になっている会社は、まず存在しない。国の法律に従って、有限連鎖にして、MLMを展開しているのである。
しかし、それでも、「MLMなどやめなさい」と言われるのは、なぜだろうか?
それは、MLMをやっている人に問題がある。
MLMで成果の出ない人は、ねずみ講的な考え方を持っている。早くはじめると、儲かる・・・とか、自分の先にすごい人が出たら儲かる・・・と、思うものらしい・・・
つまり、ねずみ講的な考えとは、「人頼みである」ということだ。人に頼って、自分で努力しようとしない。しかも、素人がさも分かったようにして話をする。「誰々さんが言ったから・・・」と言っては、責任転嫁する。そんな人がたくさんいるから、関わりを持ちたくない・・・と多くの人は、考える。
また、MLMでの成功は、個人事業主(個人)としての成功であって、社会で認知されている法人格での成功ではない。MLMで成功した人は、きらびやかなステージで表彰を受ける。しかし、まともな会社の経営者で、「私はこれで成功しました」と言ってる人などいない。そう、松下幸之助や、本田宗一郎、孫正義等がそのようにした姿など一度も見たことがない。
経営者からすれば、「成功」は一過程であり、成功してからその後が大事である。「七つの習慣」の中にも取り上げてあるが、成功したあとに人が目指すべきこととして、「社会貢献」が挙げられている。経営者としていつも考えなければならないことは、自分の会社を通して、どのように社会に貢献できるか・・・ということだ。
会社が利益を上げて、税金を払うこと、寄付をすることなど・・・当然、社会貢献となる。
そうした考えを持っていれば、成功は当たり前のことであり、通過点である。
故松下幸之助は、かつて次のように語った。
「会社を存続させること自体、社会貢献である」と・・・