世の中の会議の多くは、時間を気にして、会議の有効な進め方、無駄な時間を作らないように心がけるアドバイスで満ちている。しかし、『孫子』の兵法によると、時間の概念に関して、違った捉え方をしている。『孫子』の兵法は、戦争に勝つための書物である。戦争は、勝たなければならない。したがって、長期戦になることを避けて早期に終結させることが、国民や国家にとって、大切なことであり、そうしなければ、民が長い間、苦しむのである。
そうしたことを踏まえて、時間を最大限に捉えて、だらだらと時間を使うことなどできない。チャンスが来た時に、最大限に時間を使って、そうでないときは、別のことをすればよいのである。
事務職の人間が、時給で人生を考えるのに対して、営業職の人間は、成果で人生を考えると言える。自分の時間の使い方が多少うまくいっても、それによって、大きな成果を生み出すことは出来ない。しかし、チャンスをものして、その一瞬で人生を劇的に変えることは出来る。それが、営業を行う者の時間の捉え方である。
『孫子』は、時間の価値が変動することを見抜いていたので、チャンスが訪れた時に、成果を上げることの大切さを認識していた。よって、会議も大切な時に、どれだけ優れた判断に導けるかがカギである。
『孫子』の考えはこうである。・・・勝利する条件がない時は、守りを固めなければならない。逆に、勝機を見出した時は、すかさず攻勢に転じなければならない。つまり、守りを固めるのは、自軍が劣勢な時であり、攻勢に出るのは、自軍が優勢な場合である・・・
勝機がある瞬間の時間は、すかさず、行動する価値がある。ほんの数分、数時間、数日で人生が変わることがある。
この時間の捉え方こそが、有意義な会議を進めるポイントの一つであるだろう!