日本の神話に出てくる会議!

神々が会議を開いている!と言うことを想像したことがあるでしょうか?実は、「古事記」と言う古い書物によると、神代の時代に、神々が会議を開いたことが記されています。どんな会議だろうと、思いますか?次のような会議でした。

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高天原にある天の岩戸に天照大御神がお隠れになってしまわれたために、高天原と中津国から太陽の輝きが消え失せ、すっかり暗闇に覆われてしまいました。そのために神々の不満や怨差の声が聞こえ初め、たくさんのわざわいが起り出しました。

「どうすれば天照大御神を岩戸から連れ出すことができるだろうか」

非常召集令によって天の安の河原に八百万の神々が集まり、 解決策を練るために、高天原会議を開くことになったのでございます。

その席で『造化三神』の一人『たかみむすひ』の神の子で、高天原一の知恵者、思金(おもひかね)の神が名案を出しました。八百万の神々も満場一致でその意見に賛成し、さっそく準備が始まりました。・・・

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なーんだ、天岩戸開きの話か・・・と、思われるでしょうか?しかし、これもまた立派な会議のスタイルになっているのです。

問題が発生し、非常招集令によって会議が始まり、解決策を出すために、いろいろな意見を出してもらい、ある知恵者の意見が注目され、それによって解決策の方向性が出ます。その結果、会議の大多数で決定され、実行されていくのです。

我々人間が、普通に行っている会議とそれほど変わりはないでしょう。逆に、神々が人間臭く思えます。

続きの話は、次のようなものです。

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天照大御神を誘い出す大宴会の準備は大わらわです。こうして、岩戸の前には八百万の神々が、わいわいがやがやと勢ぞろい されました。

そこへ登場してきたのが神々の人気者、あめのうずめ(天宇受 売)でございました。天の香久山のひかげのかずらをたすきにかけ、正木のかずらを髪飾りにし、魔よけの笹の葉を手に持っています。

そして、ステージがわりの大きな桶を伏せてその上に乗り、とんとんリズムをとりながら面白おかしく踊り始めました。

桶は打楽器のように大きな音を鳴り響かせています。調子に乗ったあめのうずめは、次第、次第に神がかり状態になり、踊り狂い出したのでございます。・・・

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「あめのうずめ」と言う神様が、宴会の途中で踊り始めます。我々人間も、様々な機会に会議が開かれ、そのあと、懇親会と言う名目で宴会が開かれます。それと似ていますね。なお、神様事が終わった後の宴会のことを、「直会」(なおらい)と言うそうです。さて、その宴会の後に、何が起きたのでしょうか?

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外にもう一人のたいそうりっぱな神様がいることを不思議に思われた天照大御神は、岩戸からほんの少し体を乗り出しました。その瞬間、隠れていた手力男(たじからお)が天照大御神の手をつかみ、怪力でぐいと外に引っぱり出したのです。そして、すぐにふとだまが岩戸に『しめ繩』を張り、

「これで二度とお隠れになることはできません」

と岩戸の前に立ちふさがりました。

このとき、怪力の手力男が力まかせに岩戸を開けたので、その勢いで戸がはずれて下界に落ちてしまいました。はずれた戸の落ちたところが信州の戸隠山だといわれております。

高天原一の知恵者、思金(おもひかね)の神のはかりごとは、こんな風につつがなくとてもうまく運びました。このようなわけで高天原と中津国に光がふりそそぎ、ふたたび明るくなったのでございます。神々は、太陽の神、天照大御神のすばらしさを前にも増してほめたたえました。

昔から、暗いときには楽しく笑い遊ぶことが最良の方法(笑う門には福きたる)だったのでございます。

お手柄のあめのうずめは、このとき以来、芸能の神、お神楽の元祖となりました。

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いかがでしょうか?その宴会の後に、問題が解決されている事を知ることが出来るでしょう。これらの話の一連の流れは、会議を始め、懇親会を進めて、問題が解決されることになるということを示しているのかもしれません。

今度、同じような会議に出席する機会がある方は、神代の時代に、神々が会議を開いたことを思い出してくださいませ。・・・

2018年2月19日