酷暑から残暑へ

お盆の休暇も過ぎて、8月の後半に入った。8月前半は酷暑だったのが、ここにきて、残暑の季節に変わっている。会社に届くはがきは、暑中見舞いから残暑見舞いへと変わってきた。最近感じることだが、夏の暑い日の午後に夕立があると、季節は夏の終わりへと進んでいるようだ。

まだまだ暑いと言われる方もおられるとは思うが、そうした微妙な季節の移り変わりを感じる心を持つことが、我々日本人として大切なことではなかろうか?

我々のご先祖様は、この夏の時期を出来るだけ涼しく過ごそうと、いろいろな工夫をされてきた。軒先に風鈴をつけ、外からのわずかな風を心地よく感じるようにしたり、玄関の前などに打ち水をして、涼をとる風習の民家もある。

50年ほど前のことであるが、夏の暑い時期に、10人くらいのごぜさんたちのグループが近所に来て、私の母が休憩所として、部屋を貸したことがあった。小一時間だったろうが、弁当を食べながら、静かに休んでいた。当時の私は、子どもだったので、ごぜさんたちのことがわからずに、いろいろ話しかけていたと思う。でも、あんまり答えてくれないので、不思議な感じをしていた。大人になって、目の見えない旅芸人だったということを知った。

また別の時に、本妙寺の石段を登っていたとき、白装束の人たちがたくさんいたので、子どもながらに関心を示して、話しかけたことがあった。その時、母が口に人差し指を立てて、話しかけたらだめだよ、と言った。私がなんどもある年配のおじさんに話しかけるので、そのおじさんは、困った顔をしながら、「ボク、話しかけたらだめだよ」と言われた。その人たちは、ライ病患者だったのである。

いろいろな状況の人が、この世にいて、精一杯生きているのだ・・・と言うことを子どもながらに感じた出来事だった。

夏の暑い時期になると、そうした経験がよみがえってくる・・・

 

2018年8月16日